ベトナム経済特区・サイバー治安法抗議デモ

 先日ベトナム経済特区法案への抗議運動が世界各地で行われた事をお伝えしましたが、その翌週の6月17日には、その経済特区法案に加え、新たにベトナム国会で可決されたFacebookやYoutube等インターネット上における言論を取り締まる『サイバー治安法』に抗議するため、約100名の在日ベトナム人が東京の渋谷駅周辺および代々木のベトナム大使館前でデモ行進を行いました。



 昨今ベトナムでは長年続くベトナム共産党独裁政権の暴政に対する国民の不満が噴出していますが、ベトナム国内のテレビや新聞などのマスメディアは政府の厳重な統制下にあり、政府による情報統制の手段と化しています。
 そんな中で唯一政府による統制を受けない情報インフラとして現在重要な役割を担っているのがFacebookです。政府に批判的な言動が厳しく取り締まられるベトナムにおいて、昨年のフォルモサ問題や今回の特区法案など国民による大規模なデモが実施できたのもFacebookを通じた呼びかけによるところが大きかったようです。

 しかしベトナム政府はこれに危機感を覚え、このような国民からの批判を政策の是正ではなく、言論の非合法化と暴力によって押さえつける事に終始しています。そしてベトナム政府はこの度、言論統制を一層強化するため、Facebook等インターネット上における市民の言論活動の非合法化をより一層進めるサイバー治安法を新たに成立させました。

[サイバー治安法の詳細]
ヒューマン・ライツ・ウォッチ「インターネットの自由を規制する抑圧的な法案を国会が近く採決」

 この時代錯誤の言論統制に対し、世界的なベトナム民主化運動政党であるベトナム革新党(ベトタン)日本支部は抗議デモの実施を呼びかけ、全国から約100名の在日ベトナム人が集まりました。
 ベトタンは元々ベトナム戦争の敗北によって消滅した旧ベトナム共和国(南ベトナム)系難民らによる政治団体でしたが、現在ではかつてベトナム共和国政府転覆を目指し血みどろの闘争を繰り広げた解放民族戦線や北部のベトナム共産党員の子息として現政権下に生まれた若い世代も多く所属しており、出身・世代の垣根を超えたベトナム民主化運動の旗手として活動を続けています。実際に今回のデモも、参加者の約半数は現在の社会主義体制下で生まれ育った若者たちでした。
 1975年の終戦以降、現政権は旧ベトナム共和国政府を売国傀儡政権として喧伝していますが、上記のようにベトタンは元々旧ベトナム共和国市民の団体として発足したため、運動の際には現政権の赤い旗に対抗して黄色い旧ベトナム国旗(1948-1975)を使用しています。ここに集まった若いベトナム人は、現政権による旧政権への憎悪を煽るプロパガンダに惑わされる事なく、しかし一方で様々な問題を抱えて40年前に滅んだ旧政権への回帰を目指す訳でもなく、自由で民主的なベトナムの未来を目指す運動の旗印としてこの黄色い旗を自らの意志で選び掲げています。

当日の様子はベトタン日本支部の公式Facebookページで公開されています。
映像: Việt Tân tại Nhật / Facebook


 デモの開催に当たり、長年日本国内でベトナム難民・民主化運動への支援を続けておられる小島孝之氏が応援に駆け付け、参加者に向けて激励の言葉を述べられました。残念ながら今のところ日本国民の間でベトナム国内の問題への関心は低く、そもそも問題が存在する事すら認知されていない現状の中で、小島氏のようにベトナム人の生の声に耳を傾け、人間としての良心から彼らを支援する日本人が存在しているという事実は、周囲の日本人の理解を得られぬまま様々なリスクを覚悟して祖国の為の運動に身を投じる若いベトナムの人々を少なからず勇気付けるものです。




デモ隊は渋谷駅近くを出発し、渋谷駅前スクランブル交差点を通過。
終着地である代々木のベトナム社会主義共和国大使館前にて抗議文を読み上げました。



ベトナムが真の発展と幸福を手にするその日まで、
正義と真実を求めるベトナム国民の戦いは続きます。

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