テレサ・チャン弁護士来日

 近年目覚ましい経済発展を遂げているベトナムですが、その陰で長年に渡って改善される事なく、最も深刻な問題としてベトナム国民を苦しめ続けているのが、ベトナム共産党政権による国民への弾圧、人権蹂躙です。
 以前取り上げたフォルモサ問題をはじめ、ベトナムでは政府の暴政によって国民の権利が脅かされる事態が多発しており、またその腐敗した体制に対し抗議をおこなった多数の市民が「反国家宣伝」などの容疑で逮捕され、今もなお100名以上の人々が「政治犯」として投獄されています。
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 このベトナム政府による国民へのテロルに真っ向から立ち向かい、真のベトナム国民の幸福を目指して戦っている人物の一人が、ベトナム系オーストラリア人の弁護士テレサ・チャン・キウ・ゴック(Teresa Trần Kiều Ngọc)先生です。
 テレサ先生は刑事事件専門の弁護士としてオーストラリアの法曹界で活躍する傍ら、世界各地を周ってベトナム本土の人権問題と在外ベトナム人コミュニティに関する講演活動を行っておられます。

アメリカ サンノゼ (2016)
https://www.youtube.com/watch?v=Y9iBMrd64NM
カナダ モントリオール (2017)
https://www.youtube.com/watch?v=ylGd3sdwsMg
フランス パリ(2017)
https://www.youtube.com/watch?v=cd7OFTJUHRc
オーストラリア シドニー 世界青年人権会議 (2017)
https://www.youtube.com/watch?v=L9cDK1Pgk6o

東京講演会

2018年4月、テレサ先生は日本在住ベトナム人コミュニティからの招待を受け初来日し、東京・姫路・大阪の三都市で講演会を開催されました。東京での会場となったのは千代田区のニコラ・バレ修道院で、こちらの教会では定期的にベトナム人神父がベトナム語でミサを行っているため、東京在住のベトナム人カトリック信徒の憩いの場となっています。
 講演にはベトナムの人権問題に関心を持つ若いベトナム人留学生・研修生が大勢集まり、また'70~80年代の政変・弾圧によって祖国を離れざるを得なかった元ベトナム難民とそのご家族も参加されました。


画像: Teresa Trần Kiều Ngọc / Facebook

講演の中ででテレサ先生はまず、自身の生い立ちについて語られました。ベトナム生まれのテレサ先生は生後3か月で難民として家族と共にオーストラリアに移住し、その後の人生のほとんどをオーストラリアで過ごしてきました。そのため成人するまでベトナム語も十分に学ぶ機会が無かったそうですが、それでも生まれ故郷であるベトナムを想う気持ちを失う事はありませんでした。
 しかしテレサ先生は、成長してから初めてベトナムを訪れた際、祖国の現状に大きなショックを受けました。オーストラリアと比べて経済発展が大きく遅れている事はもちろん、そこには自由や人権などオーストラリアには当たり前に存在していた国民の権利が存在せず、かつて自分の両親が難民として脱出せざるを得なかった時代から何も変わっていなかったのです。そして、この現実を知った事で「故郷の為に何かしなくては」と思うようになった事が、今日のテレサ先生の活動へと繋がっていきます。

 またテレサ先生は講演会に集まったベトナムの若者たちに話を聞き、ベトナムの現状に対する彼らの思いや、日本での生活を通じて感じた事について話し合いました。その中では、以下のような声が寄せられました。

  • ベトナムではベトナム国民には政府から「自由」が与えられていると教わってきたし、それを信じていたが、日本に来て初めて本当の「自由」の意味を知った。
  • ベトナムではほとんどの人が、公安の取り締まりを恐れて、ベトナム共産党の支配体制について口にする事を避けている。
  • 私にとっての人権とは、自分の考えを口にする権利だが、それは今のベトナムには無い。
  • ベトナム共産党政権への恐怖が、人々の心から良心の自由を奪っている。
  • ベトナムと比べ、日本の街にはゴミが落ちていないように、日本人は公共の事を考えるが、ベトナムでは自分さえ良ければいいという考えの人が多い。
  • 私は14年間日本に住んでいるが、日本人も他人が見ていなければポイ捨てをする。またこれほど豊かな国なのに、毎年2万人の人々が自殺している。日本もベトナムも、上辺の経済発展だけでなく、他者への愛がある社会にする必要がある。

話し合いを通じてテレサ先生は、若者たちに訴えかけました。

小さなマッチ一本でも、暗闇を照らし輝く事が出来ます。皆さん一人一人が、出来る事から少しずつ始めていく事が大切です。ここは教会なので神父様やシスターは『戦い』という言葉を嫌うでしょうが・・・皆さんには是非、ベトナムの未来のために戦って欲しいのです。

画像: Teresa Trần Kiều Ngọc / Facebook

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